絵本日記「1年365冊」

『ヤクーバとライオン Ⅱ 信頼』 | 言の葉のうつわ

『ヤクーバとライオン Ⅱ 信頼』

2025.08.08

ティエリ―・デデュー 作・絵  柳田邦男 訳  講談社 2008年

食べ物がなくなり、人間も獣たちもつぎつぎに飢えて死んでいった。あたりは砂漠のようになっていた。

ライオンの王者キヴウェは一族のためにえものを見つけなければならなかった。重い心をひきずって、あの村へと向かった。

村にはまだわずかの牛が残っていた。牛の番をしていたのは、あの男ヤクーバだった。男もライオンに気がついた。あのライオンだ。

ライオンはじりじり近づいた。仲間たちが見つめる中で、引き返すことはできなかった。ついにライオンと男の戦いが始まった。ふたりとも自分が勝とうとは思っていなかった。見せかけのたたかいは夜明けまで続いた。ライオンたちには死にものぐるいの戦いに見えた。なんとおそるべき男だろうかとライオンたちはおびえて一頭また一頭と去っていっだ。

夜が明け始め、人の声が聞こえてきた。キヴウェは立ち上がり、去っていった。

数日たった夜、ライオンのすみかの近くに牛の肉のかたまりが置いてあった。キヴウェはけっしてそのおくりものにふれなかった。そして、姿を消した。

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