2025.08.10
角野栄子 作 メグ ホソキ 絵 文渓堂 2006年
あるコーヒーショップの店先に小さなお花屋さんがありました。花屋のモリンさんは、頭に1りんのお花をさし、赤い長ぐつをはいて、てきぱきとお花の世話をしていました。
バケツにはモリンさんが作った花束が入っています。そのなかに、いつも、1つだけ葉っぱばかりで作ったはなたばがまじこの花束を手に入れた人には不思議なことが起こるといううわさがありました。
その日、この葉っぱばかりの花束を手に入れたのはハヤミさんという若い男の人でした。ハヤミさんの家はまちなかの庭のある一軒家でした。困ったことに草はものすごい速さでのびていくのです。ハヤミさんは1日がかりで徹底的に草を抜き、「にわのとも」という肥料をまき、「はなのおうこく」という種をまきました。
1週間後、元気すぎる花も葉っぱも勝手な方向を向いていばったように生えていました。モリンさんはハヤミさんのお庭のお世話をすることになりました。そして、とうとう可愛いお庭に生まれ変わったのです。
それから1年して、このお庭でハヤミさんとモリンさんの結婚式がありました。