2025.08.27
阿部結 ほるぷ出版 2025年
どろぼうジャンボリはいつも頭からゴミ箱をかぶっています。そんなジャンボリが盗むものとは、いったい何でしょうか。
家々のゴミ箱から盗み出すのは「てがみのたね」。それは、だれかに出そうとした手紙の下書きや、出すのをやめた手紙などです。そこには「はだかんぼうのきもち」が綴られています。ジャンボリはそれらを読んで、たっぷりじっくり味わった後、宝の箱の中で眠るのです。
けれど、ある日、てがみのたねが盗めなくなってしまいました。どの家のゴミ箱からも消えてしまったのです。
新しい町長が「おてがみきんしれい」を出したのです。自分にお手紙が来なくてがっかりしたのものですから。
てがみのたねが盗めなくなったジャンボリは町を出ていくことにしました。
これまでに盗んだてがみのたねを入れた大切な箱のふたが開いて、てがみのたねたちは飛んでいってしまいました。それを読んだ町の人たちの気持ちが大きく変わります。
3話からなる童話は大切なことを思い起こさせてくれます。「てがみのたね」「はだかんぼうのきもち」なんと胸キュンのことばなのでしょう。
家の本棚の特等席に置きたい作品です。