2025.09.26
あまんきみこ 作 長谷川知子 絵 文研出版 1978年
なかよしのたけしくんがとなりまちに引っ越していって、わたしは泣いていました。
「どう したの。」と風のような声がします。見ると、こひつじが。空のひつじぐもから降りてきたくもひつじだと言います。こひつじに誘われて、わたしはせなかに乗って飛び立ちました。
広いくもの原っぱにはたくさんのひつじがいました。それに、こどもたちも。たけしくんもいます。
たけしくんと遊びながら、くものすきまからたけしくんの新しい家を教えてもらいました。
そらから眺めていると、オレンジ色ににじんでいる家があります。家の中でだれかが笑っていると空気がオレンジ色になるんですって。ため息ばかりついいている家はむらさき色に。
二人はわかりました。ため息ばかりついていたから、くもひつじが心配して来てくれたんだと。二人はたくさん遊んで、家に帰りました。
あの日のことを思うと、わたしの心の中はあったかくなります。