2025.10.08
せなけいこ 鈴木出版 1998年
さんぞうほうしは、そんごくうやちょはっかい、さごじょうをお供にしててんじくをめざしました。苦労して着いたてんじくでお経をいただいて、その帰り道・・・
大きな川に出たときです。かめが泳いできて、背中に乗ってくださいと言います。全員を背中に乗せて向こう岸まであと少しという頃合いで、かめが聞きました。「わたしが ごくらくに いけるかどうか おしゃかさまに きいて くださいましたか?」
さんぼうほうしはすっかり忘れていたので、困ってしまいました。返事をしないさんぞうほうしに、かめは「わすれてたんですね」とがっかりして深い川の底にもぐってしまいました。
みんなは放り出されて、あっぷっぷ。さんぞうほうしは泳ぎの上手なさごじょうに助けられて岸に上がり、おきょうの紙を集めましたが、足りません。川の底にいた大きななまずが飲み込んでしまったのです。
怒ったそんごくうがなまずの頭をたたくと、なまずはちぎれたお経を吐き出しました。でも、まだ足りません。「もう いい。ゆるしておやり」とさんぞうほうしに言われて、そんごくうもあきらめました。
のこりのお経をなまずがはきだすように頭をぽくぽくたたいている形が、あの木魚になったんだそうです。