『そっといちどだけ』

2025.11.12

なりゆきわかこ 作　 いりやまさとし 絵　 ポプラ社 ２００９年

ステラは盲導犬。あかねさんと暮らしています。あかねさんは交通事故のために目が見えなくなりました。「ステラ、ゴー！」とあかねさんは力強く命令します。

ステラが１０歳になったころ、ときどきミスをするようになりました。そのたびに「ドンマイ、ステラ」と励ましてくれたあかねさんでしたが、ステラのミスがたびかさなってくると、ドンマイも小さくなっていきました。

そして、とうとうお別れの日が。訓練士さんがステラを迎えに来、ステラはあかねさんと別れて車に乗りました。ステラは車の中であばれ、あかねさんは涙でぐしゃぐしゃにかすれた声で「グーッド、グーッド、ステラ！」と叫んでいます。

その後、あかねさんは新しいパートナーを迎え、ステラは高原にある建物でのんびり暮らすようになりました。

ステラは願っています。新しい犬と歩くとき、ほんの少し私のことを思い出して、そして、新しい犬に気づかれないように、そっと一度だけ呼んでって。