2025.11.13
長新太 佼成出版社 1990年
山の奥に深い湖があった。昔からかいじゅうがいると言われていて、ひとりの男が10年もかいじゅうが出るのを待っていた。
ある夜、ついに出てきた。かいじゅうの頭はだんだん月に届きそうになってきた。どんなかいじゅうなんだろう。男はむねがドキドキしてはれつしそうになった。
すると、もうひとつ同じようなものが現れた。そして、あっち向いたり、こっち向いたり。これは、湖に住んでいる大男がシンクロナイズド・スイミングをしているところ。男はがっかり。
静かな湖にもどった。男はそれからもずうっとかいじゅうを待っている。
