絵本日記「1年365冊」

『さんねん峠』 | 言の葉のうつわ

『さんねん峠』

2025.11.14

李錦玉 作  朴民宜 絵  岩崎書店 1981年


朝鮮の昔話です。小学校の国語の教科書にも載っています。

あるところにさんねん峠と呼ばれる峠がありました。そこにはこんな言い伝えがあります。

「さんねん峠でころぶでない。さんねん峠でころんだならば三ねんきりしかいきられぬ」

おじいさんがとなりむらに行った帰り、さんねん峠にさしかかりました。用心しながら歩いていたのに、石につまずいてころんでしまいました。

村に帰ったおじいさんは「あと三ねんしかいきられぬのじゃ」と寝込んでしまいました。

そこやってきたのが水車屋のトルトリ。さんねん峠でもう一度ころぶようにとアドバイスします。

「ばかな、わしにもっと早く死ねというのか」

「そうじゃないんだよ。一度ころぶと三ねんいきるだろ。二度ころべば、六ねん、三度ころべば九ねん・・・このようになん度もころべば、うーんとながいきできるはずだよ」

おじいさんはすっかりうれしくなって、峠をころころころがりおりました。

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