2025.11.14
李錦玉 作 朴民宜 絵 岩崎書店 1981年
朝鮮の昔話です。小学校の国語の教科書にも載っています。
あるところにさんねん峠と呼ばれる峠がありました。そこにはこんな言い伝えがあります。
「さんねん峠でころぶでない。さんねん峠でころんだならば三ねんきりしかいきられぬ」
おじいさんがとなりむらに行った帰り、さんねん峠にさしかかりました。用心しながら歩いていたのに、石につまずいてころんでしまいました。
村に帰ったおじいさんは「あと三ねんしかいきられぬのじゃ」と寝込んでしまいました。
そこやってきたのが水車屋のトルトリ。さんねん峠でもう一度ころぶようにとアドバイスします。
「ばかな、わしにもっと早く死ねというのか」
「そうじゃないんだよ。一度ころぶと三ねんいきるだろ。二度ころべば、六ねん、三度ころべば九ねん・・・このようになん度もころべば、うーんとながいきできるはずだよ」
おじいさんはすっかりうれしくなって、峠をころころころがりおりました。
