2026.02.11
アーノルド・ノーベル 岸田衿子 訳 文化出版局 1971年
こぶたがすんでいるのは、おひゃくしょうさんのうちのぶたごや。食べるのも、駆け回るのも、眠ることも大好きだけれど、なによりも好きなのはやわらかーいどろんこのなかに、すわったまましずんでいくこと。おひゃくしょうのおじさんとおばさんはこぶたをとても可愛がっていました。
ある朝、おばさんはおおそうじを始めました。家の中をすっかりきれいにして、うしごや、うまごや、とりごやもおおそうじ。こんどはぶたごやです。こぶたはお風呂に入れられ、どろんこも無くなりました。
こぶたは怒ってうちを飛び出しました。沼やごみ捨て場を回って、大きな町にきました。すぐにどろんこをみつけて、その中にすわってしずんでいきました。そのうちにどろこんこが固まってきて、体が動かなくなってしまいました。こぶたのまわりには人だかりができました。道端でセメントづけになったこぶたなんて、見たことがありませんから。
そこへちょうどおじさんとおばさんが車でやってきました。なんのひとだかりだろうと思ったら、こぶたがいるではありませんか。消防士たちがセメントをこわす道具を持ってきて、こぶたは無事におじさんとおばさんの腕の中に。
帰り道、雨がざあざあ降って来ました。こぶたはぶたごやの前にできたどろんこのなかにすわりこんで、ずずずーっとしずんでいきました。
