2026.03.09
安野光雅 講談社 1976年
むかし、あるところに、大きなもののすきな王様がいました。屋根よりも高いベッドで寝て、庭のような広いタオルで顔を拭くのです。
ある日、だいすきなチョコレートを作らせましたが、その大きさと言ったら、100年かかっても食べきれないほど。毎日チョコレートを食べたので、とうとう虫歯になってしまいました。歯医者が駆けつけましたが、王様は「そんな小さなくぎ抜きで歯を抜くのはいやだ」と泣きました。国じゅうの鍛冶屋が集まって、特別大きなくぎ抜きを作りました。大きな大きなくぎ抜きで、小さな虫歯が抜けました。
どんなものでも大きなサイズで作らせてきた王様は、こんどは大きな植木鉢を作るように家来に命じ、その植木鉢のまんなかにチューリップの球根を一つ植えました。
果たして、この球根は・・・かわいいお花を咲かせました。
安野さんは「生命を人間がつくることはできない。花一つ、虫一つがかけがえのない、ものであることを思わねばならぬ」と語っています。
