2026.03.22
ユリ・シュルヴィッツ 作 安藤紀子 訳 偕成社 2006年
昔、アイザックという名の貧しい男がいた。食べるものにも困っていたほどだ。
ある晩、夢を見た。「都へ行き、宮殿の橋のしたで、たからものをさがしなさい」アイザックは同じ夢を何度も続けて見た。「もしかしたら、ほんとうかもしれない」と思い、旅に出た。
森を抜け、山を越え、都に着いた。宮殿の橋に毎朝行き、日が暮れるまであたりを歩き回った。ある日、隊長が「なぜ いつも ここにいる?」と声をかけてきた。アイザックが夢の話をすると、隊長は笑った。彼もいつだったか夢を見たが、信じなかったと言う。「あの夢を信じるなら、すぐさまおまえさんの町へ行って、アイザックという男の家のかまどのしたでたからものをさがすだろうな」
アイザックは隊長にお辞儀をし、道を戻り始めた。そして、家に着き、かまどのしたを掘った。たからものが出てきた。
アイザックは感謝の気持ちから、「いのりのいえ」を建てた。そして、壁にこう刻み付けた。「ちかくにあるものをみつけるために、とおくまでたびをしなければならないこともある」
