2026.09.01
内田麟太郎 文 中野真典 絵 あかね書房 2026年7月
とうさんは石の絵を描く。毎日、石だけを。ぼくはどうして?って聞いた。とうさんは「うつくしいからだよ」と答えた。ぼくは思った。花のほうがずっときれいなのに。
少し大きくなったぼくは、絵を描きだした。花の絵を。でも、とうさんは石の絵しか描かない。
石の絵を残して、とうさんは亡くなった。とうさんの石の絵を見ていると涙があふれてきた。とうさんの言葉を思い出した。「きみは はなに おそわりながら、きみの はなを かいているのさ。きみが そだてている、きみの こころの はなを。」
春になって、石の雪も、凍えていた心もとけ、石から芽が伸びていく。そして、一面に花が咲いた。とうさんが育てていた心の花が。
