絵本日記「1年365冊」

『いしにさくはな』 | 言の葉のうつわ

『いしにさくはな』

2026.09.01

内田麟太郎 文  中野真典 絵  あかね書房 2026年7月

とうさんは石の絵を描く。毎日、石だけを。ぼくはどうして?って聞いた。とうさんは「うつくしいからだよ」と答えた。ぼくは思った。花のほうがずっときれいなのに。

少し大きくなったぼくは、絵を描きだした。花の絵を。でも、とうさんは石の絵しか描かない。

石の絵を残して、とうさんは亡くなった。とうさんの石の絵を見ていると涙があふれてきた。とうさんの言葉を思い出した。「きみは はなに おそわりながら、きみの はなを かいているのさ。きみが そだてている、きみの こころの はなを。」

春になって、石の雪も、凍えていた心もとけ、石から芽が伸びていく。そして、一面に花が咲いた。とうさんが育てていた心の花が。

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